先代の通勤用自転車が壊れてしまったので、だいぶ前から気になっていた西荻窪のアロートレーディングさんで自転車を買いました。とにかくシンプルで、無駄なものは何もついていません。後輪のブレーキはコースターブレーキ(ペダルを逆回転させると止まる機構)のため、自転車そのものの美しい姿が際立ちます。
1972年からシンプルな自転車を作り続けているアロートレーディングさん。西荻窪の店舗には、創業者の山田甚兵衛さんがいらして、自転車の組み立て、修理、販売をされています。フレームを作る工房は奥多摩にあるそうです。希望者には、組み立てまで自分でやらせてもらえるという事で、自分も挑戦してみました。
●1日目 タイヤの組み立て(リム、スポーク、チューブ)の組み立て
甚兵衛さんに手本を見せて頂いたあとに、見よう見まねで自分で組んでいきます。なかなか難しいのですが、最後は甚兵衛さんがちゃんと仕上げをしてくれます。
●2日目 全パーツの組み立て
注文から一ヶ月くらいでフレームが完成します。複数の色から選べるのですが、自分は黒にしました。クランク、ペダル、チェーン、タイヤ、サドル、ハンドル、ライトなどを組み立てていきます。いざ自分で組み立ててみると、厳選されたパーツ群が、シンプルで美しい自転車を作り上げていることがよく分かります。組み立ては、甚兵衛さんに順番に教えてもらいながら、あっというまに完成しました。
自分で組み立てたので、ちょっとした修理なら自分でできそうです。何より愛着がわくので、大切に乗ろうという気持ちになります。甚兵衛さんとビールを飲みながら、自転車の事やものづくりの事をお話しできた事は、デザインを仕事にしている自分にとってはとても貴重な時間でした。「良いものを修理しながら長く使う」頻繁に聞く言葉ですが、良いものに出会うのも、良いものを売るのも、なかなか難しい時代です。自転車一台を組み立てる中で、自分の職業についても色々と考えました。
甚兵衛さんありがとうございました。